シンポジウム2 アレキシソミアと「身」の医療
失体感症スケール開発の経緯と、身体を重視した心身医学療法の有用性について
岡 孝和
九州大学大学院医学研究院心身医学
1979年、池見酉次郎が失体感症の概念を発表して以来、失体感症の臨床的有用性については認められながらも、定量的な評価方法はなかった。そこで我々は、2012年、失体感症を評価する23項目からなる自己記入式質問紙(失体感症スケール、Shitsu-taikan-sho Scale, STSS)を開発した。その後、我々は、STSS得点は、失感情症を評価するTAS-20得点と正の相関を示すこと、2型糖尿病患者においてHbA1cと正の相関を示すことを見いだした。本シンポジウムでは、まずSTSS開発の経緯と、臨床的有用性について紹介する。 次に、自律訓練法、ヨーガなどでは、身体感覚に意識を持ってゆく(自律訓練法では受動的注意集中と呼ばれる)ことが重要視される。我々は身体に注意を向けることの脳内機序についても検討した。身体に意識を向けると、体性感覚野と前部島皮質の活動が亢進することを見いだしたので、その臨床的意義について考察する。 最後に、治療抵抗性の慢性疲労症候群患者対するアイソメトリックヨーガの有用性に関してランダム化比較試験によって検討したので、あわせて報告する。(厚生科研:H24-医療-一般-025)
【略歴】
1985年3月 広島大学医学部卒業
1985年6月 九州大学医学部附属病院臨床研修医に採用,心療内科に入局
( 九州大学付属病院第三内科、第一内科、心療内科で研修)
1987年4月 唐津赤十字病院内科勤務
1988年4月 国立京都病院消化器科、臨床研究医に採用
1989年4月 九州大学医学部心療内科医員に採用
1991-
1995年3月 九州大学大学院医学研究科内科系(精神身体医学講座)修了
1995年4月 小倉愛和病院内科,内科部長として勤務
1996年10月 九州大学医学部心療内科助手
1998年9月 Beth Israel Deaconess
Medical Center and Harvard Medical School, Visiting
-2002年1月 Associate Professor in Neurology(ベス・イスラエル・デイーコネス医療センター,およびハーバード医科大学)
2002年2月 大平メデイカルケア病院内科勤務
2002年4月 産業医科大学神経内科講師に採用,
神経内科講師,心療内科チーフ
2004年10月 産業医科大学病院メンタルヘルスセンター副部長兼任
2008年6月 九州大学大学院医学研究院心身医学 准教授 現在に至る
所属学会活動,役員など
日本心身医学会評議員。心身医療内科専門医,研修指導医.
日本心療内科学会心療内科専門医
日本東洋医学会評議員,漢方専門医, 指導医
日本東洋心身医学研究会理事
日本疲労学会評議員、
日本自律訓練学会評議員.
日本生理学会評議員,
雑誌
「日本東洋心身医学研究」編集長,
Advances in Neuroimmune Biology編集委員,
BioPsychoSocial Medicine編集委員