スペースをめぐる臨床と瞑想
関西大学臨床心理専門職大学院
池見 陽
このワークショップではフォーカシングの一部である「クリアリング・ア・スペース」を取り上げ、それをめぐっていくつかのワークを行う予定である。哲学者ユージン・ジェンドリンによって考案されたフォーカシングは、感じることと言葉・アートなどの象徴がどのように相互に作用しているかを言い表し、人の体験過程がどのように成立しているのかを明らかにしている。一方、クリアリング・ア・スペースはフォーカシングの主要な部分とは異色で、体験内容と主体の間の距離を調整する作用がある。すなわち、それは感じていることに圧倒されないように「一歩下がる」ことであったり、いろいろな気掛かりに巻き込まれていない心のスペースを体験することであったりする。
クリアリング・ア・スペースは臨床応用例が多く報告されているが、このワークショップでは筆者がこれをどのように臨床で行っているかを紹介し、それを実習してみる。加えて筆者は最近、心のスペースが広がる瞑想ワークを試みており、当日はこのような瞑想も行ってみたい。
参考文献
池見 陽 (2010): 僕のフォーカシング=カウンセリング:ひとときの生を言い表す 創元社
池見 陽 (1995): 心のメッセージを聴く:実感が語る心理学 講談社現代新書